尖閣諸島を東京都が購入とは!

石原都知事尖閣諸島を東京都が購入すると表明した。
いやぁビックリしたな。
尖閣諸島が個人の所有地だったなんて。
そして2002年(当時、小泉首相)からその島を国が所有者に賃料(現在年2450万円)を払って借りているというのだ。
中国なんかが「尖閣諸島はうちのモンや」と主張する一方で、「いや、尖閣諸島はうちのモンや」という日本が一市民から賃料を払って島を借りているというのだから何とも不思議なのである。
世の中には不思議なことが多い。

ところで、歴史的に見れば尖閣諸島は、日本、中国とも双方がわが領地なりといって譲らない、いわゆるグレーゾーンの領地なのである。

今のところどちらのものであるかは決着していない。
そもそも石原氏にしても、グレーゾーンであると認識するからこそ、「わが領土である」と主張するといえよう。

領土問題は、下手をすると戦争に発展しかねない要素を含んでいる。
だから好戦的な人間は「わしのモンや」と声高に言う。
厭戦的な人間はわが領土だとは主張しない。といって、中国の領地だと認めているわけでもないのだ。それでも、たとえ「国益が損なわれる」と言われても、「わしのモンや」とは言わない。
まあ、今のままでええやんか、戦後60年以上も、何とか宙ぶらりんな感じでやってきたのだから、あえて今、わが島なりと主張することもなかろう、というのが厭戦派の気持ちなのである。
腰抜けと言われても、威勢よく戦いを挑んで、殺し合いにまで進んでいくなら、戦わずにいるほうがいいだろうという姿勢だ。
決着するかどうか分からないが、とにかく根気よく交渉していくしかない。その時間も一つの歴史なのだ。

何事も白黒をはっきりさせたいという人は日本でも中国でも多数派を占めるかもしれない。でも、腑抜け弱虫と言われても、ここはグレーな感じで押したり引いたりのかけひきでいくしかないのではないか。これも外交の選択肢の一つである。

好戦的な人間を首長に選んだことの危うさを今回の石原騒動に感じざるを得ない。