「障害者」考1

「障害者」という表現に、ず~っと疑問を抱いてきた。

「障害」という表現を、覚えたのは、小学校の運動会の時だった。「障害物競走」。

網をくぐったり、平均台の上を走り抜けたり、跳び箱を越えたりして走るのだ。

走るのに障害となるものが「障害物」だった。「障害物」のためにうまく走れない僕らを「障害者」とは呼ばなかった。当たり前だ。

だから「障害者」という表現を初めて聞いたとき、誰かが何かをしようとするとき「障害になるもの」と思った。たとえば学校へ行く途中、「通せん坊」をするようなヤツのことだ。

ところが「障害者」というのは、そういうヤツのことではなかった。

何かしようとするとき、うまくできない人のことを「障害者」というのだと教えられた。

じゃ、通せん坊するヤツは何ていうのだ。

通せん坊するヤツは、通ろうとする僕らにとっては「障害物」であり、まさに「障害者」なのに。

「障害者」って何てあいまいな言葉なんだ。

そもそも、何かをするときに、うまくできない人を「障害者」と言い始めたのはどこの誰だ。まともな言葉遣いもできない人間が使い始めて、それが当たり前のように使われることに、少なからず憤りさえ覚える。