日本は民主主義国家か

21世紀に入って10年以上が経つというのに、悲しいかな、日本は未だ民主主義国家としては未成熟である。

敗戦後、民主主義国家を目指して日本はスタートを切った。
しかしそのスタートは、戦前の負の遺産を後生大事に引き継いでいた。
大東亜共栄圏などと大言壮語なスローガンを掲げ、その象徴として「日の丸」「君が代」を仰ぎ見・斉唱していた、その「日の丸」「君が代」を破棄するどころか、奉ったのである。

第2次世界大戦の敗戦国ファシズム三国のうち、ドイツ(ヒトラー)イタリア(ムッソリニー)は戦後、国旗・国歌を新たに制定したが、日本は侵略戦争の象徴を踏襲したのである。ここに大きな違いがある。

1950年、終戦後5年という段階で、時の文部大臣、天野貞祐氏は、「日の丸」「君が代」を祝日には全国の学校で掲揚・斉唱するべきだと発言しているのだ。

そして戦後70年近くが経つというのに、日本人は民主主義を踏みにじるような人間を数多く選挙で勝利させてきた。
政治家は、民意に後押しされているとして、政治が踏み込むべきではない「教育」に権力の刃を突き付ける。教育基本法改悪などもその一つである。
現在、東京や大阪でみられる愚劣な「日の丸」「君が代」問題も同列のものとして数えられるのである。

民主主義とは、個人の尊厳、思想・良心・信教の自由、および寛容の精神が骨格としてあり、互いの違いを認め合って尊重する社会といえよう。
日本に真の意味で民主主義が確立されることはあるのだろうか。